今回はエンドウがかかる病気「菌核病」について皆さんにご説明をいたします。エンドウをご自宅で育てている時に、葉や茎、莢に水浸状の斑点が出来ていたり、白くカビが発生していたことありませんか?もしかしたら「菌核病」かもしれません。
菌核病はそのまま放置するとやがて枯死してしまいます。せっかく楽しみにしていたエンドウがそんなことになってしまったら、ショックですよね。
そんなことにならないように、菌核病によく効く農薬の紹介や、菌核病の防除方法をお伝えいたしますので、最後まで読んでくださいね。
エンドウの菌核病とは
はじめにエンドウが発病する「菌核病」がどんな病気か知りましょう。菌核病は「スクレロティニア スクレロティオラム」という糸状菌といわれるカビが原因でかかる病気です。
菌核とは菌類の菌糸が付着した植物の組織内や、土壌中に菌糸が密集して出来る硬いかたまりのことです。病気が発生して、進行が進むとねすみの糞のような黒い塊ができます。これが菌核です。
病原菌は地面に落ちた菌核で越冬をします。翌春、気温が10~20℃くらい、適度な湿度になった時に子のう盤ができ、胞子をつくります。その胞子が風に飛ばされて近くのインゲンに付着することで病気にかかります。
菌核病は比較的低温の3~5月、9~11月の降雨が続くときに活発に形成されます。低温・多湿が菌核病の発生しやすい環境です。気温の上昇に伴い、発生がおさまっていきます。
この菌核病はエンドウだけがかかる病気ではありません。様々な作物にかかる病気です。とくにキャベツやレタスなどの葉菜類、きゅうりやトマトなどの果菜類、そして花きなど発生する植物が多岐にわたります。
家庭菜園ですと色々な野菜を作っていると思います。特にトマトやキュウリは人気ですよね。一つの野菜を守ることが家庭菜園全体を守ることになるのです。
また、菌核病はとても厄介で一度発生した圃場には何年もこの菌が生き残り、そして感染力がとても強い病気なんです。ですので、病気のことをよく知り対策をすることがとても大切です。
このあとお伝えする農薬や防除方法のポイントを押さえてしっかりと病気を防いでいきましょう。
菌核病に効く薬剤とは
では次にエンドウの菌核病によく効くおすすめの薬剤をおすすめいたします。菌核病をしっかりと対策するにはやはり薬剤を使うのが一番効果的です。ここではおすすめの薬剤を3点ご紹介いたします。
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【エンドウの菌核病におすすめの薬剤①】
住友化学園芸 GFベンレート水和剤
〇商品の特徴
浸透移行作用により病原菌の侵入を防ぐ予防効果と、侵入した病原菌を退治する治療効果を兼ね備え、病原菌の細胞分裂を阻害して防除します。
使用方法・・・水に薄めて散布
希釈倍率・・・2,000倍
使用時期・・・収穫の前日まで
使用回数・・・3回まで
【エンドウの菌核病におすすめの薬剤②】
クミアイ化学工業株式会社 ファンタジスタ顆粒水和剤
・商品の特徴
新規系統ベンジルカーバメート系の有効成分ピリベンカルブを含有しています。
広範囲の病害に対して高い防除効果を示す総合殺菌剤です。
予防効果に加えて病斑進展阻止効果を有します。
各種作物への汚れや薬害発生リスクが少ない剤です。
葉の内部への浸達性、茎部から上位葉への浸透移行性を有します。
使用方法・・・水に薄めて散布
希釈倍率・・・2,000倍
使用時期・・・収穫の7日前まで
使用回数・・・3回まで
【エンドウの菌核病におすすめの薬剤③】
協友アグリ株式会社 カナメフロアブル
・商品の特徴
幅広い病害に優れた防除効果を示すSDHI殺菌剤です。
浸達性、浸透移行性を有します。
多くの作物で収穫前日まで使用が可能です。
使用方法・・・水に薄めて散布
希釈倍率・・・4,000倍
使用時期・・・収穫の前日まで
使用回数・・・4回まで
ここでご紹介したのはいずれも薬品です。使用方法をしっかりと確認しルールを守って使用しましょう。
菌核病を防除(予防)するには
最後にエンドウの菌核病を防除する方法をご紹介いたします。菌核病を発生をさせない方法を覚えて、病気からエンドウを守っていきましょう。
【エンドウの菌核病防除対策①】
圃場の環境整備
原因となる糸状菌は多湿の環境を好みます。ですので、育てる前に水はけの良い土壌にするために、土壌改善をしましょう。またエンドウを育てる圃場を風通しが良く、日光が良く当たる場所にしましょう。
【エンドウの菌核病防除対策②】
菌核病発生土壌での連作を避ける
先ほどもお伝えいたしましたが、エンドウの菌核病の原因の糸状菌は土の中で長期間生存します。ですので、菌核病が発生した土壌で、再度栽培をしようとすると菌が残っている可能性が高いです。
ですので、菌核病が発生した場所で連作することは避けるようにしましょう。
【エンドウの菌核病防除対策③】
天地返しをする
みなさんは「天地返し」って知っていますか?天地返しは天と地をひっくり返すように表層と下層の土を入れ替える作業のことです。
この作業を行うことで、糸状菌を地中深くに埋め込みます。目安としては地表から10cmくらいです。土を上下入れ替えて予防しましょう。
薬品を使うことに抵抗のある方は、しっかりと予防をすることで発生を防ぐようにしていきましょう。
まとめ
今回はエンドウに発生する病気「菌核病」について皆さんにお伝えをいたしました。なかでも菌核病の特徴について、エンドウの菌核病によく効くおすすめの薬剤のご紹介、菌核病の防除の方法についてご紹介をいたしました。
この内容が皆さんのエンドウ栽培のお役に立てたなら本当に嬉しいです。
では最後に今回のポイントをおさらいしていきましょう。
①エンドウの菌核病とは
・病気の原因は「糸状菌」
・低温多湿を好む
・一度発生すると何年も土の中に生き残る
②菌核病に効く薬剤とは
・住友化学園芸 GFベンレート水和剤
・クミアイ化学工業株式会社 ファンタジスタ顆粒水和剤
・協友アグリ株式会社 カナメフロアブル
③菌核病を防除(予防)するには
・圃場の環境整備
・菌核病発生土壌での連作を避ける
・天地返しをする
今回のポイントを押さえて、おいしいエンドウをたくさん育てましょう。
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